私の想い
私は台湾で生まれ育った、台湾人です。
幼少時代は、台湾が日本の植民地であった為、日本の教育を受けました。
高校を卒業し、兵役を終えて、私は日本へ渡りました。
その時、家族もあり、バイトをしながら大学へも通いました。
そして、興南貿易に入社しました。
日本に初めてメンマを輸入販売したのは、私の父でした。
昭和2年、父は神戸で「神山商店」を開業し、台湾のメンマを日本全国に売り歩いていました。
戦後、東京へ移転し社名を「興南貿易」と改め再出発し、メンマや台湾の筍だけではなく、様々な中華に使う食材を扱い始めました。
昭和55年、私は代表取締役に就きました。
私たちのモットーは、「本物で本当に美味しいものを提供すること」。
どこの国のものであろうと、それが本物で本当に美味しければ、自国のものにこだわったりはしませんでした。
常に品質と味にこだわって品選びをしていましたが、酒類免許を取得し、紹興酒を扱っていた時、その味にどうしても納得がいきませんでした。
そこで、平成元年、私は単身中国へ渡り、本物で本当に美味しい紹興酒を探しに行ったのです。
1989年(平成元年)6月4日、中国は天安門事件の発生で混乱していました。
その混乱の最中の7月17日、私は上海で、香港と上海の業者に紹興酒について商談をしていました。
しかし、事件直後ということで、紹興市まで行くのは危険だと言われ仕方なく、予定を早めて日本へ帰りました。
帰国後、上海の業者とのやりとりが始まり、その2ヵ月後の10月19日、浙江省紹興市にある、国営沈永和酒廠の工場長に会え、その翌日に契約を締結したのです。
中国で、唯一330余年の歴史ある、手造りの最高級紹興老酒の日本総代理店を獲得できたことは、興南貿易にとって、正に大きな財産でした。
しかし、平成14年、中国紹興市政府はこの沈永和を取り壊し、その跡地にマンションを建設することを取り決めました。
沈永和は移転する為、今までと同じ味を維持できなくなります。
今まで手造り醸造一筋だったものが、機械化に変わります。
そこで私たちは、沈永和との契約を解消し、その伝統と精髄を継承できる工場を新たに探し当て、平成15年9月、紹興日盛酒業有限公司を設立いたしました。
同じ手造り醸造で、今まで以上に美味しい、スッキリとした喉越しの紹興酒をこれから提供してまいります。
私たちはこれからも、「本物で本当に美味しい」ものを探求し続け、お客様にご提供していけるよう、邁進して参りたいと思っております。